当店のコンセプトは「自然（テロワール）の恵み」です。三國清三シェフのエスプリ「地産地消」という言葉を受け継ぎ「ラ・キュイジン・テロワール（郷土料理）」をお客様に提供しています。野菜、肉、魚、調味料までも地元産にこだわり、食材の「生まれ育ち」を意識して料理しています。
私が「おおち山くじら」を知り、初めて美郷町に訪れたのは7～8年前のことです。正直、あのころの「おおち山くじら」は、製造工程や販売方法に不安を感じることがあり、積極的な取引にはなりませんでした。しかし、今回の産地見学会を通じて、信頼できるトレーサビリティと、安定した処理システムが確立されたことを知り、安全性を感じることができました。今後は、積極的に使用したいと考えています。

「おおち山くじら」の肩ロースを使い、口当たりなめらかなリエットを作りました。
クランブルは、東広島町にある「門藤農園」が自家製麹と地元産大豆で仕込んでいる熟成味噌を使用しています。クランブルのカリカリとした食感、米麹の甘みとコクが、イノシシ肉の旨みを引き立ててくれます。
数種類ご用意している自家製パンの中でも「ふすまパン」との相性が特にオススメです。「ふすま」という小麦の皮部を混ぜ込んでいるため、芳ばしい香りが鼻に抜け、リエットをより美味しく感じさせてくれます。

「おおち山くじら」のバラ肉を出雲地伝酒で炊き、和栗のクリームでモンブラン風に仕立げました。
出雲地伝酒は、島根県の出雲地域で古くから使われてきた特別な料理酒で、マデラ酒のような濃厚な旨みと甘みがあります。また、マスタード、マスタードオイル、マスタードシードを隠し味として使用しており、マスタードのさわやかな酸味が、濃厚なイノシシの脂身と和栗の甘みをまとめてくれています。

部位によって異なる味わいをお楽しみいただくために、骨つきバラ、モモ、ロース、ヒレを別々にローストしました。丁寧にじっくり火入れをしているので、仔イノシシの繊細な肉質を感じていただけると思います。
ゆり根グラタンには、むかご、さつま芋、菊芋、里芋をあしらい、この季節ならではのほっくりとした食感と甘みを演出しています。
ソースは、仔イノシシの骨を一度焼いてから出汁をとったジュのソースです。仔イノシシの美味しさをまるごと味わっていただけますよ。